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アフターコロナ~世界はこう変わる?~(サプライチェーン編)

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Photo by Reproductive Health Supplies Coalition on Unsplash

友人からの寄稿記事です.

前回,誰もが先行きの見通せない中でこの先どうなっていくか「アフターコロナ ビジネス編」と題し,個人の見解を記した.今回はサプライチェーンにフォーカスする.

takuma0121.hatenablog.com

背景

新型コロナウィルス感染拡大の影響により,あらゆるものが製造できない事態に陥った.例えば,中国でコロナの流行が始まったときに,日本では経済活動を維持できていた.しかし,そのころから製造では中国からの部品納入が滞ったり,洋服の生産にも陰りが見られた.まさに「世界の工場」の停止による影響である.

では,今回の事態を受けて,今後のサプライチェーンはどうなるのか,2つの観点で見解を示す.

観点1:生産の分散化・集中化

自動車を例に取ると,車1台を生産するためには何千・何万という部品が必要である.車を生産するために部品すべてがどこで生産されているか把握することは,現状のシステムでは困難である.仮に,受注した請負業者を把握したとしても,その後の下請け・孫請けと生産をアウトソーシングするケースも多く,全容の把握はやはり困難である.

一方で,生産を集中化することで事態把握が容易になる.しかし,今回のように新型コロナウィルスに感染している勤務者が出た場合,工場閉鎖や生産縮小などに追い込まれる.これにより,自動車の生産は完全にストップする.

生産が完全にストップするリスクを考えると,生産拠点の分散化がよいと考える.具体な手法として,購入仕様書に以下を要求しておくことが必要だと考える.

  • NDAの締結(外部委託業者の開示要求)
  • 委託先の分散化を明記(国や地域を N 箇所以上,1拠点 M 以上の生産の能力を持つことなど)
  • BCP(事業継続計画)の事前確認・契約としての締結 

注意点は,契約締結にあたり発注者は QCD の考え方を整理しておく必要がある.仮にDelivery(納期)を確保するとすると,Cost(費用)が増えていいのか.またはQuality(品質)を下げてもよいのか.これは業種によっても考え方が異なる.

観点2:「持続可能」の可否

サプライチェーンを維持することを優先事項と仮定して,持続可能な生産方法を考える.

生産は大きく分けて「人」「機械」のいずれかで行われる.人が多く介在する生産方法は,感染者が出た場合,感染者だけでなく接触者も勤務が継続できなくなる可能性が高い.

一方で,機械で生産する場合は,感染者などに大きく左右されずに生産を継続することができる.しかし,機械の保守部品の生産が滞った場合,機械の故障が発生すると生産を継続できない可能性がある.更に,機器の稼働年数の経過に伴い故障頻度が高くことで,生産がストップする可能性が高まる.これは契約段階で生産方法がわかったとしても,どの程度リスクが内在しているかはわからないケースが多い.

では機械での生産においては,どのようにすれば請負者を「持続可能」とできるか.

  • 機器の冗長性を規定(機器障害の発生時の生産継続のための対応)
  • SLAの設定(年間での機械停止時間の規定,及び稼働状況報告の義務化)
  • 保守体制の規定(障害発生・暫定対処・対処までの時間の規定)
  • SLAや保守契約の不履行に対する違約金の規定(納期を第一に考える場合,納期遅滞金よりも高い費用の設定)
  • 例外の規定(例:生産拠点を置く国からの命令以外による事由以外は遅滞の理由にならない等)

上記を契約で規定することで,一定の持続性を担保できる.これは請負者がすべての下請け業者に対しても契約を規定する必要がある. また,今回は納期を最優先要素としたが,費用・品質を優先する場合はその内容に沿った契約にする必要がある.

以上より,これらを規定することが,今後のサプライチェーンにおいては重要視されると考える.

まとめ

新型コロナウィルス感染拡大の影響により,今後のサプライチェーンを2つの観点で考察した.5年前,今後世界が直面する出来事の中で,最も多くの死者を出す恐れのあるものは戦争ではなく,感染症のパンデミック(世界的大流行)であると指摘したビルゲイツは,以下のような言葉を残している.

変わることがなければ成長することもない.成長することがなければ真に生きていない.

今,中国に限らず,世界の工場が成長を試されているのかもしれない.