概要はこちら.
エッセンシャル思考とはなにか
より少なく,より多くを実践する生き方
- より多くの仕事をこなすためのものではなく,やり方を変えるためのものである.
- エッセンシャル思考になるためには,3つの思い込みを克服する必要がある.
- やらなくては
- どれも大事
- 全部できる
- これら3つの嘘を真実に変える必要がある.
- やると決める
- 大事なものはめったにない
- 何でもできるが全部はやらない
- あらゆる方向に1mmずつ進むのではなく,これと決めた方向に全力疾走する.
- 世の中の大半のものはノイズである.
- 「今,自分は正しいことに力を注いでいるか?」と絶えず問い続けるのが,エッセンシャル思考の生き方.
- 自分の力を最大限の成果につなげるためのシステマティックな方法.
- 自分で優先順位を決めなければ,他人んの言いなりになってしまう.
- 自分に正しく生きるというのは,単にわがままになることではなく,不要なことを的確に見定め,排除していくこと.
- 人が方向性を見失う理由
- 選択肢が多すぎる
- 他人の意見がうるさすぎる
- 欲張りの時代
- エッセンシャル思考のフレームワーク
- 評価する:これをやったら,他のなによりも重要な成果が得られるだろうか?
- 捨てる:もしもこれを持っていなかったら,今からお金を出して買うだろうか?
- 実行する
- エッセンシャル思考の基礎
- 選択:私たちは時間とエネルギーの使いみちを選ぶことができる.
- ノイズ:世の中の大半のものはノイズである.
- トレードオフ:すべてを手に入れることはできない.
- エッセンシャル思考の技術(上のフレームワークと同じ)
- 見極める
- 捨てる
- しくみ化する
正しく減らす技術(見極める・捨てる・しくみ化する)
選択
- 選択とは行動
- 与えられるものではなく,つかみとるもの.
- 選ぶ能力は誰にも奪われない.ただ,本人が手放してしまうだけだ.
- 過去の経験によって,選択しても意味がないという無力感を覚えてしまっている.
- 例:算数の初歩でつまずき,どうやっても解けない問題に苦しんだ子供は,算数を理解しようという努力を投げ出してしまう.
- 選ぶという行動は難しいもの.何かを選べば必然的に何かを捨てることになる.
- エッセンシャル思考の第一歩は,選ぶことを選ぶことである.
ノイズ
- 万物の大半はほとんど価値がなく,ほとんど成果を生まない.少数ものだけが非常に役立ち,大きな影響力を持つ.
- 努力の量が成果に比例するとは限らない.
- まさにパレートの法則.
- 本質的な少数のものだけを選び取り,その他多くものものにNoという.
- 時間をかけて選択肢を検討する.
トレードオフ
- 何かを選ぶことは,何かを捨てること.
- 明確なビジョンを持って,不要なものを切り捨てる.
- トレードオフを無視すると,取り返しのつかない損失が待っている.
- 何かにYESということは,他の全てにNOということ.
- トレードオフは無視できない.
見極める技術
- エッセンシャル思考の人は,より多くの選択肢を検討する.
- 行動を起こす回数は少ないが,やると決めたことについては最高の結果を出す.
- 見極める技術に重要なものは5つ
- じっくりと考える余裕
- 情報を集める時間
- 遊び心
- 十分な睡眠
- 選択の厳密な基準
じっくりと考える余裕
- 本質を見極めるために,選択肢を調べる.
- 集中は向こうからやってこないので,自分から飛び込むことが必要.
- 仕事が忙しくなればなるほど,考える時間を確保することがより必要になる.
- 本を読む時間を確保する.
- ビル・ゲイツは,ひとりきりで大量の本や記事を読み,最新の技術について学び,これからのことに思いをはせる.
情報の本質をつかみとる
- あらゆる事実には本質が隠されている.
- ささいなことに気を取られすぎると,大局を見失う.
- 要点に目を向ける訓練をすると,これまで見えてなかったものが見えてくる.
- ジャーナリストの目を手に入れる
- 日記をつける:振り返って大きな流れを把握する
- 現場をみる:自分の目で問題をたしかめることで,問題の本質を知ることができる.
- 普通を知り,逸脱を探す:知識を深めて,様々な視点でものごとをみる.
- 問題を明確にする
遊び心
- 遊びは脳の柔軟性と順応性を高め,創造的にする.遊びほど脳を奮い立たせる行動はほかにない.
- 最高の思い出や生きているという実感をもたらしてくれるのは遊んでいる時間.
- 遊びが大切な理由
- 選択肢を広げてくれる
- ストレスを軽減してくれる
- 脳の高度な機能を活性化する
睡眠
- 言わずもがな
最も厳しい基準で決める
- 絶対にやりたい or やらないの二択にする.
- 絶対にYESと言えないなら,すなわちNOである.
- 90点ルールを取り入れる.
- 90点未満はすべてNO
- 厳しすぎるルールかもしれないが,妥協すれば自分が損をするだけ.
- 明確で厳しい基準があれば,誰でも不要な選択をシステマティックに却下し,重要な選択肢を選びとることが可能になる.
捨てる技術
- やらなくてもいいこをきっぱりと捨てなければならない.
目標:最終形を明確にする
- ミッションステートメントは,明確な目的を示し,社員のやる気を引き出すためのもの.
- 最初に切り捨てるべきは,やろうとしている糸にそぐわない行動.
- 目的や戦略を,「かなり明確」から「完全に明確」にする.
- 目的が明確でないとき,人はどうでもいいことに時間とエネルギーを浪費する.
本質目標を決める
一般的 | 具体的 | |
---|---|---|
刺激的 | ビジョン・ミッション | 本質目標 |
平凡 | 価値観 | 四半期目標 |
- 本質目標の具体例
- 2012年までにイギリスのあらゆる人がインターネットを使えるようにする
- 優れた本質目標があれば,周囲の協力も得やすくなる.
- 本質的な問を立てる:たったひとつのことしかできないとしたら,何をするか.
- 達成を判定できる目標がよい.
- ニューオリンズの下9地区に住む世帯のために,低価格で環境に優しく,災害に強い家を150戸建設する.
- トレードオフを直視し,本質から外れたものごとを断固として切り捨てなければならない.
拒否:断固として上手に断る
- 断るためには勇気が必要.
- 肝心なのは,肝心なことを肝心なままにしておくこと.
- 自分にとって本当に重要なのはこれだ,という確信を持っておく必要がある.
- 絶対にやるべきこと以外のすべてに対して,上手にNOということ.
- NOというコツ・考え方
- 判断を関係性から切り離す
- 直接的でない表現を使う
- トレードオフに目を向ける
- 誰もが何かを売り込んでいる
- 好印象よりも敬意を手に入れる(目先の好印象と引き換えに,長期的な敬意を手に入れる)
- 曖昧なYESはただの迷惑
- 断り方のレパートリーを増やす
- とりあえず黙る
- 代替案を出す
- 予定を確認して折り返す
- 自動返信メール
- どの仕事を後回しにするか
- 冗談めかして断る
- 肯定を使って否定する
- 別の人を紹介する
- もっとゆっくりYESと言い,もっとすばやくNOと言うこと.
キャンセル:過去の損失を切り捨てる
- この世のトラブルの大半は,YESというのを焦りすぎ,NOと言うのを渋りすぎることから来る.
- お金を払えばはらうほどやめられなくなるという,典型的なサンクコストバイアス.
- サンクコストバイアスの例
- 授かり効果:一度手に入れると手放しにくくなる
- 手放すテクニック
- 持っていないふりをする:もしもまだこのプロジェクトに参加していなかったら,参加するためにどんな犠牲を払うか?と問う.
- もったいないを克服する
- 失敗を認め,成功に向かう
- ゼロベースで考える:時間の使い方を一旦忘れて,やるべきことをゼロから考える.
- 逆プロトタイプ:今やっていることを試験的にやめてみて,不都合があるかどうか確かめる.
- 例:顧客・友人・家族のために苦労してやっていたことが,実は相手にとって何の意味もなかったということがある.
編集:余剰を削り,本質を取り出す
- 不要なものや余分なものを容赦なく削り,作品の本質を取り出す.
- 編集によって,重要なものがいやでも目に入ってくるようにする.
- 部分から全体を作り,全体から余分なものを取り除く.
- 編集はただ減らすことではなく,減らしながら価値を高める.
- 編集の4原則
- 削除
- 凝縮:言いたいことを言えているか,言いたいことを最大限明確かつ簡潔に言えているか
- 修正:自分の本質的な目標を明確にしておけば,それに合わせて行動を修正できる.
- 抑制
- 削除・凝縮.修正・抑制を日々の習慣にする.
線引き:境界を決めると自由になれる
- 仕事をプライベートを一方的に侵食している.
- 一度でも例外を許したら,その後は例外だらけになる.
- 明確な境界線を引くことで,自分の領域を好きなだけ使えるようになる.
- 自分の境界線を知るためにやること
- 他人に侵害されたと感じた出来事をリストアップ
しくみ化の技術
バッファ
- 不確実な世界に生きているので,何が起こってもあわてないように,あらかじめ備えておく=バッファをもたせる.
- ものごとはけっして思うように進まない.
- バッファを作るコツ
- 徹底的に準備する
- 見積もりは1.5倍で考える
- シナリオ・プランニングでリスクを軽減する
削減:仕事を減らし成果を増やす
- ボトルネックを探して改善する
- 問題の本質を見極める
- 成果を改善する3つの方法
- 目指すことを明確にする
- ボトルネックを特定する
- 邪魔なものを取り除く
前進:小さな一歩を積み重ねる
- 何でもいっぺんにやろうとせず,小さな成功を積み重ねる
- 最小限の進歩を重ねる
- 「重要なことをやりとげるために,最低限意味のある進歩は何か」を問う
- 早く小さく始める:目標に対して,今すぐできる最小限の準備をやる
- 進歩を可視化する
習慣:本質的な行動を無意識化する
- 重要なことをやりとげるために,日頃からの習慣にする.
- 正しい習慣を続けていれば,偉大な結果は自然とついてくる.
- 習慣になると,脳の活動はどんどん少なくなり,ほぼ停止しているような状態になる.これによって,脳の活動を別のことに使えるようになる.
- 例えば,
- ミーティングを企画したり調整したりする手間を省き,毎週決まった時間に全員の頭脳が思考に集中できるようにする
- トリガ -> 行動 -> 報酬のフィードバックループを活用する.
集中:「今,何が重要か」を考える
- 昨日や明日ではなく,今この瞬間に何が大事かを考える
- 集中の対象を一つにまとめる
- 今ここを生きる技術
- 「今,何が重要か」を考える
- 未来を頭の中に抱えない:ノートに考えていることを書き出す
- 優先順位をつける
未来:エッセンシャル思考を生きる
- エッセンシャル思考の目的は,人生に意味と目的を見出し,本当に重要なことを成し遂げること.
- エッセンシャル思考を生きる人は,周囲の人と同化しない.
- 周囲に流されず,自分自身の選択をする
- シンプルな人生が幸福である理由
- 迷わない
- 流されない
- 日々が楽しくなる
エッセンシャル思考のリーダーシップ
- エッセンシャル思考のマネジャーは,決してすべてをやろうとしない.明確な目的を持って仕事を精選し,あらゆる業務を「より少なく,しかしより良く」の方針で実行する.
非エッセンシャル思考 | エッセンシャル思考 | |
---|---|---|
考え方 | みんな・すべて | より少なく,しかしより良く |
行動 | やることをでたらめに増やす | やることを計画的に減らす |
結果 | 無力感 | 充実感 |
選択 | 他人 | 自分 |
多数の物事 | 重要 | 不要 |
トレードオフ | 両方選択 | 取捨選択 |
考えること | 余裕がない | 余裕をつくる |
情報 | 波に飲まれる | 本質をつかみとる |
遊び | 軽視 | 重視 |

- 作者:グレッグ・マキューン
- 発売日: 2014/12/12
- メディア: Kindle版