Minimahack

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読書メモ | 未来を実装する - テクノロジーで社会を変革する4つの原則 -

何回かに分割して読書メモを投稿予定.

はじめに

  • 社会実装:新しい技術を社会に普及させること
  • 今の日本に必要なことは,「テクノロジー」のイノベーションではなく,「社会の変え方」のイノベーション
  • 社会実装プロジェクトの成功例では,より良い未来を作ることを目的として,社会の仕組みに目を向け,人々とともにプロジェクトを進めていた.
  • 社会実装を成功させる4つの原則は
    1. インパク
    2. リスク
    3. ガバナンス
    4. センスメイキング
  • テクノロジーを最大限活かすには,テクノロジーをうまく受け入れて活用できる社会が必要.そのためには社会を理解して,ときには社会を変える必要がある.

デジタル技術によるビジネスの大きな変化

  • すべてのテクノロジーにはインストール(導入)期とデプロイメント(展開)期がある.
    • インストール期:テクノロジーの登場と投資によるインフラの整備
    • デプロイメント期:テクノロジーが社会で広く使われて,潜在的な価値を発揮
  • 過去の技術革新ではデプロイメント期が20-30年程度続いていたため,デジタル技術も今後10-20年かけて更なる価値を生むことが想定される
  • デジタル技術がデプロイメントされるにつれて,社会は3つの観点でデジタル技術を無視できなくなる.
    1. 広くデジタル技術が使われることで,デジタル技術によって引き起こされる変化と既存の規制との調整が必要になること
    2. デジタル技術自体が規制の対象となること
    3. デジタル技術と国際政治との関係が深まること
  • 既存の業法との整合性を取りながら現在の技術や環境に対応すべくアップデートすることは困難.更に,既存の業法を変えると損をする人たちが出るため変化への抵抗も大きくなる.

公共が大きなビジネスになる時代

  • 政府が取り組んでいたような公益に利する事業に取り組むスタートアップが増えてきている.
  • 政府の機能が次第に小さくなるにつれて,かつて行政が行っていたサービスを民間が徐々に請け負うようになってきっている.
  • 民間企業による社会貢献が,投資家や市民から本格的に求められ始めている.
  • 利益以外に人と地球環境を考慮する,トリプルボトムラインという企業評価のフレームワークも注目を浴びている.
  • 社会的な課題解決が事業機会につながり,更にそれが投資を呼び込んで新たな事業機会へとつながっていくという循環が生まれ始めている.
  • 社会貢献・営利活動・規模の3つを兼ね備えたビジネスが可能になってきている.
  • つまり,非営利企業営利企業の境目が徐々に曖昧になってきている.
  • 同時に,ビジネスパーソンに求められるスキルも変遷している.
  • これからはインパクト(理想)を示し,現状と理想のギャップ = 課題(問い)を生み出し,人々を巻き込む必要がある.

社会の変え方のイノベーション

  • テクノロジーを社会に実装していく,という発想のプロジェクトは失敗に終わる傾向がある.
  • 社会の課題やニーズを把握しながら,むしろテクノロジーではなく社会を変えるような動きをすると成功する傾向がある.

社会実装はなぜ課題になったのか

  • 成熟社会では多くの課題がすでにある程度解決されているため
  • 理想を描きづらくなったため
  • 課題を新技術で解決しても便益が比較的少ないため
  • 変化によって明らかに損をする人がいるため
  • 過去に作られた制度の変えにくさのため
  • ニーズが多様化したため
  • 技術に対して良い面だけでなく悪い面を考えるようになったため

社会実装の成功例:マネーフォワード

  • 信用を獲得するために
    • 役員が顔と経歴を出し,会社のビジョンを載せて,怪しい人たちではないというのをアピール
    • 週刊メールを定期的に配信
    • 株主に信用度の高い人
    • アプリのレビューに対してすぐにコメントを返す
    • Fin-Techブログによる発信(ユーザや公益に利する発信を徹底)
    • ブログをきっかけに様々な研究会や勉強会に招へい

事例からの学び

  • 成功する社会実装には4つの原則がある
    1. 最終的なインパクトとそこに至る筋道を示している
    2. 想定されるリスクに対処している
    3. 規制などのガバナンスを適切に変えている
    4. 関係者とセンスメイキングする
  • 更に前提として,社会実装しようとしているテクノロジーに対するデマンドがあること
  • 課題に対して強くこだわり,解決策はどのような手法でも良さそうであればいいというスタンス

インパク

  • インパクトを設定することが変化のために必要な要素
  • 「長期的な」成果に目を向けることで,短期的な費用便益(コストベネフィット)のバランスの合わなさを補てんできる
  • 目指すべきインパクトがあることで,関係者に目的を説明できるようになる
  • インパクトを示すことでデマンドを醸成できる(デマンドとは課題に対する解決の欲求のこと)

インパクトと道筋を示すためのロジックモデル

  • ロジックモデルとは,あるプロジェクトについて,投入する資源,活動,結果として生まれる製品やサービス,それによる成果,その成果がもたらすインパクトの因果関係を体系的に図示するもの
    • それぞれの要素が連鎖してインパクトにつながることが可視化され,時間軸も含めてインパクトとそこに至る筋道を考えられる.
    • 図示したものを共有することで,プロジェクトの長期的な価値を説明することもできる

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ロジックモデル(引用:https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/2020/social1126.html

  • ロジックモデルを作り上げておくことで,振り返るときに何が間違っていたのか検証し,そこから学べる.
  • アウトプットは製品やサービスそのもの.アウトカムは製品やサービスによって得られる変化.
  • 私企業の利益や私益よりも,公益を重視して設定することで,多様なステークホルダーの巻き込みが可能になる.
  • 実感を持ちやすく,わくわくするような未来を描くことも意識する
  • インパクトの見つけ方は
    • 「意味のイノベーション」を起こすプロセスが参考になる.
    • ビジョンを個人で考え始めて徐々にその輪を広げていきながら,社会的な批判プロセスを通して昇華していく.
    • 個人で仮説を作るときは,抽象的なビジョンを考えるだけでなく,まずはソリューションを作ってみて,そこから抽象度を高めて考えるとうまく始められる

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意味のイノベーション(引用:http://www.tokugikon.jp/gikonshi/287/287design.pdf

  • 良いインパクトを設定している企業のトップたちは,数多くインプットしていた傾向にある.
  • インプットは読書や自分の経験,多様な人間関係からというケースもある.
  • まずは何か興味のあることや小さな社会貢献を始めてみることが一番の近道
  • インパクトを設定・運用するためには,FASTという考え方を使う.
    • Frequently discussed: 頻繁に議論される
    • Ambitious: 大志のある
    • Specific: 特定する
    • Transparent: 透明性がある
  • インパクトは設定して終わりではないので,頻繁に議論すること
  • 達成は難しくとも不可能ではないレベルを設定することで,関係者の努力を引き出せる
  • 数値目標を設定することと,その計測方法を明確にすることで達成有無を評価できる
  • 現状のパフォーマンスや状況を透明性を持って共有することで,活動が実際に最終的なインパクトにつながっていることを示せる